「ファイナル・デッドサーキット」に見るアルコール依存症

吹き替えで見ると、主人公の「んぁあぁあ!」っという叫びは、罰ゲームで尻をシバかれているココリコ田中としか思えない、マンネリテンプレ映画「ファイナル・デッド・サーキット」こと「The Final Destination」。


以前、mixiで方で書いたネタ。




作中、”アルコール依存症からの脱却”的な本を警備員のジョージさんが読んでいましたが、あれは、通称ビッグブックと言って、表紙はそのまま「Alcoholic Anonymous」。無名のアルコール依存者。


基本的に依存症というのは薬での回復は望みは薄い。身体的な依存は気合いで取り除けても、精神的な依存は環境から改善しなければ無理。
そこで、同じ依存症者が匿名で寄り集まって、助け合い、依存から脱却しようというのが自助グループと言います。このグループのことを Alcoholic Anonymousと言っています。


本の内容としては、依存症というのは、「自分の力ではどうすることもできないので”Higher Power”の力を借り、12のステップを経て、依存症から回復しましょう」という流れが書いてあるAAの聖典です。”Higher Power”というあたりが、いかにも米国らしい発想ですな。


ちなみに日本にも”断酒会”という、AAに似た自助グループがありますが、ちょっと違います。
よく、海外ドラマ等ではAAを断酒会と訳していますが、似て異なるグループです。
Wikipediaあたりに詳しく載っているような気がしますが、基本的にはAAは参加者それぞれが言いっぱなしの聞きっぱなしの放置する方針、断酒会は、それぞれにが言ったことについてアドバイスしてよい方針と言ったところです。


海外では、何かにつけて速攻でアルコール依存症の烙印を押されてしまうので、一般的な映画でもAAやらNA(薬物依存)やらの自助グループがよく登場します。


日本でアルコール依存症というと、単に酒好きの酔っぱらいという印象が強い感じがしますが、それだけでは語れない、非常に奇妙で理解しにくい病気です。


それはさておき、さらに警備員のジョージさんが、自殺を考え、ブランデーを目の前にして悩むシーンで、コインを握りしめています。話の流行から”ラッキー・コイン”と思うのが自然かもしれません。しかし、コインが大写しにならないことや大きさが明らかに違うことから、恐らくこれはワンデイコインと考えられます。アルコール依存症自助グループに参加すると貰えるコインです。
1日断酒できたらまず一枚、以降1ヶ月、3ヶ月、半年、9ヶ月、1年、2年、3年と断酒の年数によってコインがもらえます。


ジョージさんが弄っていたのは、何ヶ月目かは判りませんが年数が長いと、コイン自体も豪華になります。知ってると、「あぁ、ワンデイコインか。コインを目の前にしてスリップ(断酒していた依存症者が再飲酒してしまうこと)するかどうか悩んでいるのか。」っと、判るわけです。


一緒で、自助グループの活動を知っていると映画をもっと楽しめるよ!っというお話でした。「ファイト・クラブ」なんかだと、自助グループ自体を非常にわかりやすく表現しています。(あの映画はちょっと極端ですが)聖書なんかもそうで、一回くらい読んでおくと、映画をより楽しむことができます。


ナマニクは身内にアルコール依存症者がいたので、見事回復した人(アルコール依存症は治りません、飲まないことで症状が止まるだけです)廃人になった人、死んでしまった人(ちなみに殺される人が多いです、次は自殺)、色々見てきましたが、ほんと、お酒は程々にした方が良いですよ。

また、美空ひばり石原裕次郎あたりが、アルコホリックで確実に寿命を縮めたのは、事実でなのですが、いまだアンタッチャブルなナタらしく、相変わらず国内では依存症という病気に対する意識が低い。(だいたい、大腿骨骨頭壊死なんて典型的な症状だろうに)
有名な人が、依存症と認めちゃえば少しは認知度が上がるのになぁ・・っと考えるのは軽率だろうか。


「映画依存症のナマニクです」
「Hi!ナマニクI!」